“NONE”エメラルドって何?!ノンオイルとの違いとは?

2023年04月02日

ノンオイルエメラルドは、その名の通りオイルが入っていないエメラルド。
つまり、通常のエメラルドに施されるオイル含侵処理が行われていないエメラルドということ。
GIAであれば「No indications of clarity enhancement」、AGL加盟店であれば「透明剤の含浸の痕跡は認められません」と鑑別書に記載されます。

しかし、GIAの鑑別書には、ほんのわずかですが「NONE」という評価が付くことがあります。
「NONE」とは一体どういう評価なのでしょうか。

エメラルドの通常処理

エメラルドはインクルージョンの多い宝石なので、採掘されてすぐにオイル処理されることも多いようです。

オイル含侵されることで透明度が改善され、美しさが引き出されます。
これは、鑑別の世界では「通常処理」として認められており、含侵されているというだけでは価値が著しく下がることはありません。

ただし、オイルが多く含まれているエメラルドはオイルが抜けてくると経年劣化してしまう可能性があります。
その場合には再度オイル含侵することで、また美しいエメラルドに戻すことが可能です。

オイルの量には差がありますが、エメラルドの90%以上が含侵処理を施されているといわれています。

含侵処理されていない、ノンオイルエメラルド

ノンオイルエメラルドは前述の通り、「美しさを向上させるための含侵処理がされていない」エメラルドのこと。
含侵処理をされたエメラルドと違って、経年劣化することはほとんどありません。

鑑別機関でのノンオイルの検査は厳しく、少しでもオイルが入ると鑑別が出ないと聞きます。
そのため、鑑別書がついていない状態のエメラルドを「ノンオイル」として購入した場合、鑑別を依頼しても認定されない場合もあるので注意が必要です。

鑑別書がついているようなノンオイルエメラルドは含侵処理をしなくても十分な美しさがあります。
透明度が高く、うるうるとした照りや輝きが楽しめます。

「NONE」と記載されたノンオイルエメラルド

ノンオイルだけでも貴重ですが、GIA鑑別書にはさらに上のクラスにあたる「NONE」というグレードが存在しています。
「NONE」もノンオイルエメラルドです。

ノンオイルエメラルドであっても、通常は顕微鏡でチェックすると表面にルーペでも見えないような小さな穴のようなものが開いているもの。
「NONE」と評価されるノンオイルエメラルドについては、そういった穴のようなものが見当たりません。

つまり「NONE」はノンオイルエメラルドのなかでも、「オイルが含まれておらず、表面にオイルが入りこむ余地のないエメラルド」に与えられるグレードなのです。

“NONE”エメラルドのまとめ

GIAで「NONE」というグレードを与えられるエメラルドの特徴については下記の通りです。

  • 含侵処理による透明度の改善が行われていない
  • 顕微鏡でのチェックでもオイルが入り込む小さな穴や傷などが見つからない

「NONE」は飽くまでも「オイル含侵処理」についてのグレードです。「インクルージョンが全くない」「傷、欠けなどの欠点が全くない」といったものではありません。

鑑別書取得の金額が高いため、「NONE」と評価されるエメラルドには美しいものが多い傾向にはあるものの、色やカットのよさ、インクルージョンのなさなどはまた別の評価基準。
宝石としての品質の高さを示すものではありませんので、その点は注意が必要です。

滅多に出回らない貴重なグレードのエメラルド。
入手した際にはぜひ、ルーペや顕微鏡でも楽しんでいただきたいと思います。

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