コーネルピンのロットをひとつずつケースに入れていく作業中、違和感のあるルースを発見!
しかも、2つもありました。
ちなみに宝石つむりメンバーのルースチェックは、少しずつ方向性が違います。
違和感に気付いた場合は、他のメンバーに共有。
それぞれのやり方でチェックして、簡易鑑別し、必要であれば日独宝石研究所さんに最終ジャッジを依頼します。
今回のつむりチェックの結果は…
「グランディディエライト!」
とりあえず、コーネルピン命の宝石つむりが、「コーネルピンではない」と言い、小田さんの測った屈折の値や多色性のチェックを経てそんな結論に。
とはいえ、微妙な違和感がぬぐえなかったので、日独宝石研究所送りとなりました。
そして結果は…「天然ベリル」「エメラルド」!!
エメラルドにしてはチェルシーフィルターへの反応もほとんどなく、多色性にも色にもちょっと違和感が…。
そして、エメラルドとグランディディエライトは屈折率も近いので、もしかして間違えている可能性も?
- エメラルド屈折率:1.583-1.590
- グランディディエライト屈折率:1.580-1.620
他にも鑑別依頼をする用事があったため、一緒に日独さんに送って詳細を確認していただくことに。
その結果、「分析の機械にかけても、やはりベリルだった」というお電話をいただきました。
でも、こんなグランディディエライトのような色のエメラルドは見たことがありません。
残る可能性としては、「見たことのない産地のエメラルド」なのではないかと。
ついでに2石のうちの1石のソーティングが「通常含侵(ノンオイルの可能性がある)」というコメントだったので、興味本位でノンオイル検査もお願いしてみました。
そして、結果は…
なんと、「マダガスカル産ノンオイルエメラルド」!
宝石つむりで扱ったエメラルドといえば、コロンビア、ロシア、アフガニスタン、ザンビア、ブラジルで、あとはジンバブエ、インドくらいしか聞いたことがありませんでした。
ちなみに今回の主役のエメラルドはこちらです。
青みが強く、質感がなんとなくグランディディエライトと比べると軽めな感じもしますが、色はグランディディエライトカラー。
一般的なエメラルドのようなネオン感はなく、多色性がかなり強くて、二色鏡で見るとブルーとグリーンの不思議な組み合わせです。
今回はタンザニア産のコーネルピンに混ざっていましたが、同じマダガスカル産のグランディディエライトにも混ざっている可能性があるのではないかと思います。
宝石つむりでは、ひとつひとつの宝石の品質をしっかりとチェックしてご紹介しています。
今回のように違和感のあるものや、ロットで仕入れた場合もいくつかを鑑別に出すようにしていますが、全ての宝石を鑑別に出すことは、あまり現実的ではありません。
今後も、これまで以上に慎重に宝石を扱っていかねばと気持ちが引き締まる出来事でした。
小さなルースですが、実はノンオイル&産地同定鑑別書がついている強いエメラルド。
ミネラルショーなどにもお持ちしますので、ご興味のある方はぜひ見に来てください。