【独自調査】ピジョンブラッドルビーってどんな色?

2022年04月17日

色によってパパラチアサファイア、コーンフラワーサファイアといった別名が付く宝石は少なくありません。
別名が付けられるかどうかは色によって決まります。

今回はそのなかで、日本でも新しく鑑別書への記載がはじまった「ピジョンブラッドルビー」の色についての考察です。

ピジョンブラッドの定義

ピジョンブラッドとは「鳩の血」という意味の言葉。
つまり、ピジョンブラッドルビーとは血のように赤いルビーのことです。

血の赤というと、なんとなく鮮やかなヴィヴィッドレッドを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、実際に採血などで見かける血液は深い赤。
鳩の血も同じなので、どちらかというとやや暗めの深い赤といった定義になると思います。

また、海外の一部の国では日本とは太陽光の強さが違うため、ルビーなどの赤い宝石の色が違って見えるといわれます。
日本では深い赤に見えても、太陽光の強い海外の国ではヴィヴィッドレッドに見える色ということになるのかもしれません。

別名の有無はどうやって決めているの?

鑑別の別名表記については、完全に色での判断となります。
各鑑別機関で色のマスターとなる石がいくつか用意されていて、その色の範囲内であると確認された場合に鑑別に記載されるのです。

鑑別機関別、人別の判断になるので、ギリギリの色であれば常に同じ結果が出るというわけではないかもしれません。

とはいえ、もちろん規定の色というものは決まっていますので、そこまで大幅にブレることはないと思います。

ピジョンブラッドになる色、ならない色

赤味の強いルビーを並べてみました。
半分の3つが鑑別でピジョンブラッドと表記されたもので、残りの3つは表記されなかったものです。

画像でも分かりやすいですが、左3つの深い赤がピジョンブラッドルビーです。

一番左のオーバルカットはタイの老舗鑑別機関「AIGS」、右の2つのラウンドカットは「日独宝石研究所」のピジョンブラッド表記の鑑別書が付いています。

右側も赤みの強いルビーだと思いますが、「日独宝石研究所」ではピジョンブラッドという判定にはなりませんでした。

日本のAGL加盟店でのピジョンブラッド鑑別はまだ歴史が浅く、はじまったばかりです。
そのため、かなり厳しい判定になっているということでした。

赤以外の色を少しでも含んでいたり、色が明るかったりするとピジョンブラッド表記にならないという印象があります。

他の鑑別機関のピジョンブラッド

日本国内で見かけるピジョンブラッドルビーの鑑別書としては、「AIGS」や「GIA」が多いと思います。

「AIGS」のピジョンブラッドルビーは色の幅が広い印象があります。
上記のオーバルカットの真っ赤なルビー以外にも、画像の通りのややピンキッシュなものもピジョンブラッドの鑑別書がついていたことがありました。

一方で「GIA」のピジョンブラッドはあまりピンクを含まない印象です。

どちらのピジョンブラッドルビーも真っ黒に近いような深い赤が多く、ネオン感のある明るいレッドはほとんど見かけません。
美しい真紅のピジョンブラッドルビーは本当に希少だと思います。

ちなみに「GIA」のピジョンブラッド鑑別書の色の判定は、ほとんどが”Vivid Red”という表記になりますが、なかには”Crimson Red”という記載もあります。
こちらはタイ産で一定の美しさの基準を満たした場合のみに付けられる特別な色名となります。

購入する際のチェックポイント

鑑別機関にもよりますが、鑑別書がついていないものに対してピジョンブラッドのような別名を断言することは危険です。
一見、ピジョンブラッドに見えるルビーも鑑別機関によっては判定が出ない可能性も……。
つまり確実にピジョンブラッドと呼べるルビーが欲しい場合には、鑑別書のついたものを選ぶことが大切だと思います。

そして、別名表記があれば価値が高いということに直結するわけでないというところにも注意が必要です。
鑑別書で記載されるのは「ピジョンブラッドに該当する色のルビーである」ということだけで、判定の出る色には幅もあります。

ピジョンブラッドルビーの流通価格も「色の美しさ」によって違いがあり、鑑別書上は同じスペックだったとしても、金額が大きく違うことも少なくありません。
一番価値が高いとされるのは、

  • 色が濃い
  • 青みの少ない真紅に近い色
  • 彩度が高い

といった条件を満たす、多くの人が美しいと思うピジョンブラッドルビーだと思います。

もちろん、コレクションかジュエリー加工かといった用途によっても求めるグレードは異なると思いますので、ご自身の求めるグレードのピジョンブラッドルビーを見つけるための参考としていただけると幸いです。

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